シリーズ:酒税法は楽し④ ~清酒のうんちく~

 日本酒のことですね。わが国で「酒」と言えばこれです。いわゆる「日本酒ファン」は身近にもたくさんいますので、私の知識なんぞ全然足元にも及びません。

 

 ただし、現行の酒税法上の位置づけをご存知の方は、日本酒好きの方の中でもあまりおられないと思いますので、ちょっと知っておけば話題に入ることができます(先日も銘酒居酒屋の店主と話が盛り上がりました)。

 

 日本酒の主原料は「米」と「米こうじ」と「水」です。これを発酵してこしたものが清酒となります。ここまでは日本酒好きの方には当たり前のお話。んで、産地と製法がなんちゃら、精米歩合がなんちゃら、日本酒度がなんちゃら、と語り出すのが日本酒ファン。

 

 ここで、酒税法ファン(?)が話題に食いこむポイントは「混ぜ物」です。

 

 上記の主原料しか使っていないものは、いわゆる「固有の清酒」と呼ばれる古来からの清酒です(いわゆる「純米酒」ってやつですね。「純米大吟醸」とか・・・高いよね)。しかし、通常スーパーなどで見かける酒には混ぜ物が入っています。「副原料清酒」又は「アルコール等添加清酒」と呼ばれるものです。

 

 混ぜ物として認められるものは限定されていますが、代表的なものとして「醸造アルコール」があります。これは何かというと、先の17項目でいうところの原料用アルコールのことです(一部スピリッツの場合もあります)。これで清酒のアルコール分を調整していたりするんですね(ちなみに22度以上になってしまうと清酒じゃなくなります)。

 

 原料用アルコールは焼酎の高アルコール版みたいなものですから、どうしても飲んだときに「カーッ」と熱くなります(人によっては悪酔いの原因になることも)。これが苦手な人は、燗を熱めにつけて醸造アルコールを飛ばすと良いでしょう(邪道かもしれませんが、私はいつもこの飲み方をやっています)。

 

 だから、「良い酒は冷やで」「安い酒は燗で」と言われるのでしょうね。正確にいうとこれは誤解で、みなさんの好みと、それぞれの酒の性質との相性によると思います。

 

 ちなみに、アルコールなどの副原料を入れてよいのは、「使用した米の重量の50%まで」と決められています。たしかに、米を凌駕するくらい多すぎたら清酒じゃなくなります。

 

 清酒と似た「合成清酒」については、米不足の時代に清酒に似せて作ることを考えたお酒なので、米を使ってよいのは原料重量の5%までと決められています(アルコール分20度換算時)。「偽者らしくしてろ」ってとこが清酒と逆の発想ですね。その分税率は安いです。(1klあたり、清酒は12万円、合成清酒は10万円)

 

 酒税法って、単に税金を定めているだけでなく、酒の内容まで規定しているってのが面白いところです。
 
 ね。これだけ語れれば、日本酒ファンとも対等に酒が飲めそうでしょ。