シリーズ:酒税法は楽し⑤ ~蒸留酒のうんちく~

 焼酎をはじめとする蒸留酒のうんちくをお話しします。簡単に言うと、蒸留酒は酒を沸騰させて、蒸気からアルコール分を抽出したものです。アルコールは水よりも沸点が低いため、100度未満の定温で蒸発させることで水と分離され、エチルアルコールの純度が高くなります。だからカーッとくる酒はだいたいが蒸留酒です。


 酒税法上の蒸留酒に分類されるのは、連続式蒸留しょうちゅう、単式蒸留しょうちゅう、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツの6種類になります。

 

 まずはしょうちゅう。酒税法上は漢字ではなくひらがなで書きます。連続式は「甲類」と、単式は「乙類」とボトルに書いてあるので分かります。それぞれ蒸留機の種類のことを指しています。連続式の方がアルコール純度を高くできるため、クセがないのでサワー等で割って飲むのに使います。逆に単式は純度が低い分だけ原料の風味が残りますので、よく「本格焼酎」に分類される米焼酎や芋焼酎などに使われます(最近はブランド焼酎が人気ですね)。

 どちらも、アルコール分に上限があり、45度を超えると原料用アルコールに分類されることになります。だから、「アルコール分50度の焼酎」というのはわが国には存在しないのです。

 

 次にウイスキー、ブランデー。発芽穀類(麦芽や発芽したとうもろこしなど)を原料とした蒸留酒はウイスキー、果実を原料とした蒸留酒はブランデーに該当します。ただし、蒸留機から留出した時点でのアルコール分が95度未満でないとダメだとか、糖類やホップといった認められない混ぜ物があるなど、各種の制限があります。

 「ウイスキーはビールを蒸留したもの」「ブランデーはワインを蒸留したもの」と言われることがよくありますが、正確には「ビール→ウイスキー」は×です。ホップが入っているのでウイスキーには該当しません。「ワイン(果実酒)→ブランデー」については、糖類を使用していない果実酒を蒸留した場合はブランデーに該当することになりますので、△ということになります。(そろそろマニアックになってきたかな)

 

 もうひとつお付き合いさせてください。スピリッツについてです。スピリッツは、「他の酒類に該当しないエキス分2度未満の酒類」ということになり、いわゆる「消極判定」の対象となる酒類です。ジン、ウォッカ、ラム、テキーラといういわゆる「世界4大スピリッツ」が有名ですが、日本ではこれら以外の消極判定された酒もすべてスピリッツになってしまいます。ちょっと有名どころには可愛そうかな。

 

 

 たわいのないマニアックな話ばかりですみません。この話題も、もう少し蒸留して純度を高めればよかったかな・・・。ちなみに本格焼酎は「穀類+穀類こうじ」を主原料としたもののほか5種類に分類でき・・・・・・(みなさんの頭が蒸発する前に、このへんでやめておきます・・・)。